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写真は今回も「八重の紫陽花」。同じく狛犬さんの御提供です。(狛犬さんは八重の花がお好きなんでしょうか)。前二回のどちらとも異なる花のようです。
<第五回合同ブログ句会・選句と評>
選は☆で示しました。△は佳作、▽は意見、?は疑問です。
<>は作者、( )は評者です。
※今回の句会作品、選、評について、感想・質問などお寄せください。
<選句と評>
<句猫>
1まくら元手花火置いて眠り居る
2アーケード隙間の空の梅入りかな
☆2、何処にいてもアンテナを張りめぐらし句作出きることに敬服。(鴉の子)
☆2、「隙間」「梅雨入」で不景気な感じが出せている。(泰二)
☆2、街中でも自然を感じ取る感性に好感を持つ。(うーむ)
▽1、「まくら元」→「まくら辺に」ではいかが?(小波)
?2、梅入り→入梅(ついり)のことですか。(小波)
<八目>
3大正の女は強し梅雨に入る
4手花火や縁側に父母ありし日の
5蚊を打ちてわりなき仲になりにけり
☆4、死をまたぐ長い歳月を、込められた想いを、縁側がじっとつなぐ。(♭)
☆5、小島 功の漫画のシーンの一こまのよう。(友遊)
☆5、どぎつい感じだが眠気が覚める。i音が多い。仲にを仲とにしては。(小波)
☆5、「わりなき」で頂戴しました。(土曜日)
<泰二>
6庭先に餌を乞ふ雀梅雨の入
7ホスピスの窓の線香花火かな
8蚊柱や取りはづされし鯨幕
☆7、かぼそいいのちを思います。(土曜日)
☆7、線香花火がとても切ない。(梓)
☆8、山寺の景か。蚊柱と鯨幕の取り合わせが絶妙。(白い鴉)
☆8、寂寥感と安堵感が良くあらわされていると思います。(友遊)
☆8、はずされた鯨幕の後の蚊柱。お葬式のあとの虚しさが増す。(柊)
☆8、取り合わせが絶妙、無常感が漂う。(梓)
<小波>
9足もとに蚊の居るけはひ気は漫ろ
10吾ばかり鼠花火の追ひ廻す
11土の香や手花火の友今いづこ
☆9、良く解る情景、気は漫ろで決まりですね。(季彩)
☆10、鼠花火が恐かった想い出、まさに実感。(梓)
<狛犬>
12手花火の火は消え匂いのみ残り
13血を吸いて膨れし蚊の腹潰しけり
14入梅や甘みの足りぬメロン喰い
△12、捉えどころは良い。「火は消え」はない方がすっきりするのでは?(青子)
☆14、何だかクスッと笑える句ですね。(季彩)
☆14、期待はづれの味も天候の故か 一寸ペーソスも感じさせられる。(鴉の子)
△14、「食い」まで要るかどうか、因果関係が少しいやだが。(八目)
<白い鴉>
15入梅や居酒屋いつも準備中
16シュルシュルと鼠花火の照らす闇
17まくりたる腕の血を吸ふ藪蚊かな
☆15、入梅や交番いつも巡回中としたいところ。(狛犬)
☆15、入梅となつたが、準備中の居酒屋。長い梅雨もきつと準備中。(柊)
☆15、湿りっぱなしです。(土曜日)
△15、(紙風船)
☆16、闇のなかで鼠花火の音と光りが鮮明。(若葉)
<♭>
18入梅に寒さ感ぜずこの地球(ほし)よ
19夏悔やみ線香花火堕ちにけり
20蚊を潰す汚れしその掌(て)四十六
<紙風船>
21干し物の風に絡みて梅雨に入る
22宿坊までついて来たりし藪蚊かな
23憂鬱の弾けて鼠花火かな
☆21、干し物の纏い付くような感じが梅雨入りを感じさせる。(狛犬)
☆21、このような技巧性は作句力を高める。うまい句。(小波)
☆21、湿った風に絡む干し物の重い感じが取れている。(杏)
☆22、汗をかきながら山道を歩く!何度か経験をしました。(白い鴉)
☆22、蚊の句ではこれが素直か?(八目)
☆23、対処方法ではこれが一番(八目)
☆23、気まぐれな鼠花火を憂鬱の弾けた様子と捉えた点敬服。小気味よい。(うらら)
<柊>
24新しき俎かろきついりかな
25闇濃かりしころの線香花火かな
26耳もとの蚊の声たたきそこなへり
☆24、「かろき」に清潔な台所が見える。「新しき」が少し邪魔。(小波)
☆24、新調した俎とついりの重さの比較が面白い。(紙風船)
☆25、私自身この句の時代に育っているので大へん懐かしく拝見。(鴉の子)
☆25、「闇濃かりしころ」に郷愁。(梓)
☆25、「闇濃かりしころ」の花火が懐かしい。(青子)
☆25、何とも、いえぬ郷愁をかんじる。線香花火だからこそ。(うらら)
☆26、煩い蚊を叩き損なった無念さが眼に見えるようだ。(狛犬)
△26、9番と迷いましたが、蚊の声?羽音ですよね。(季彩)
<杏>
27梅雨に入る何処へも行けぬ靴磨く
28手花火の消えて大きな闇となる
29隣室も海眺めゐるついりかな
☆27、行けないのは己の体か心かはたまた物か。徒に磨かれて輝く靴よ。(♭)
☆27、晴れたら出かけるぞ、と意気込みが伝わってくる。(紙風船)
☆28、消えて大きな闇となるの 前の賑やかな情景が浮かぶ。(若葉)
△28、大きくとらえられている。(うらら)
☆29、宿の窓から見える海、所在無さと静かなひと時、隣の気配も。(友遊)
☆29、せっかく泳ぎに来たのに(八目)
☆29、海辺の旅館の一室だろうか。(青子)
☆29、ついりの気分が捉えられ、ついりだなあという気分が瀰漫している。(うらら)
△29、たっぷり時間のある旅先、海自体は表現しないのに情景が浮かぶ。(うーむ)
<季彩>
30稜線に鉄塔傾ぐ走り梅雨
31耳塞ぎねずみ花火の行方かな
32薮蚊とてエレベーターに乗って来し
△30、「傾ぐ」と「走る」では完全に着き過ぎ。「梅雨の入り」なら可。(泰二)
☆32、場所によりこんな景もあるかも。(白い鴉)
△32、取り合わせが面白いが、てにをはの使い方になめらかさが欲しい。(柊)
△32、高層階にもなぜかいる蚊。情景を想像しクスリ。(うーむ)
<鴉の子>
33湿布薬いやに冷たき梅雨入かな
34蚊を打つは合掌に似ると思ひけり
35手花火やよせ合ふ額ほの明かし
?33、「梅雨入り」→「入梅(ついり)」の誤記でしょうか。(小波)
☆33、あんまりやりたくは無いが。(八目)
☆35、暗い闇の中花火を見る顔だけが浮き上がって見える様子が…。(狛犬)
△35、花火だから「明かし」は不要。「〜に寄せ合つてゐる額かな」。(泰二)
<若葉>
36十の目を離さぬ鼠花火かな
37ざんざん降りに東京の梅雨入りかな
38水やりて花鉢の蚊を騒がしぬ
☆36、正直、上五の「を」は気になりましたが。(友遊)
☆36、十の目に驚きました、鼠花火の行方に目の様子が出ている。(杏)
△36、「〜を離さぬ」→「〜の離れぬ」と自動詞型にしては?(泰二)
?37、「梅雨入り」→「入梅(ついり)」の誤記でしょうか。(小波)
<うらら>
39魚に振る塩粒立ちて梅雨に入る
40手花火や子の神妙な顔照らす
41蚊を打つて満座の句会ひびきけり
△39、目の付け所が良い。「粒立つ」の理屈めくのが欠点。(泰二)
☆40、手花火の不思議さを見つめている子。神妙な顔でよい句になつた。(柊)
☆40、恐るおそる花火の弾けに真剣な様子に好感。(杏)
△40、火をつける前の緊張感のほうが。(八目)
☆41、思いがけなく大きく響いていたたまれない気持ちに同感。(青子)
△41、(紙風船)
<青子>
42布令太鼓響き失ひついりかな
43梅雨に入る舟板塀の湊町
44頬の蚊をうちとる力加減かな
☆43、形が整っていて景が見えてとても良いと思う。(紙風船)
△43、描写が良い。「舟板」と「湊」は着き過ぎ。(泰二)
☆44、蚊とて生き物!仏心が窺えます。(白い鴉)
☆44、解りますねー。子供だと泣かれてしまいますものね。(季彩)
☆44、誰もが共感できるおかしみが好きだ。(うーむ)
<うーむ>
45蚊を逃がし特攻隊員出撃す
46天井の龍の目黒し梅雨に入る
47母に手を添えて線香花火咲く
☆46、入梅で竜の目が黒く深まった。下五は梅雨の入では?(柊)
☆46、上五中七と季語との取り合わせが新鮮だ。(泰二)
△46、(紙風船)
△47、老いた母への心遣いが良く出ている。動詞は少なく「〜かな」か。(泰二)
<土曜日>
48人を待つ閨に焚く香梅雨に入る
49手花火の瞳の奥の未来かな
50蚊のごとき男の一生ピアノ弾く
☆48、梅雨のように湿って生暖かいことでも思い巡らす香る夜か。(♭)
☆48、梅雨入りで、よりなまめかしく。しかし平安文学か。(青子)
☆49、きらきらした子の瞳。いっぱい未来がひらけてる。(季彩)
☆49、線香花火に見入る幼子の純粋な眼差しが未来への期待となった。(鴉の子)
☆49、子供のひた向きさとそこに可能性を信じる親心がよく出ている。(泰二)
☆50、まあ何と健気なこと。「ピアノ弾く」でこの句が生きた。(紙風船)
△50、断然おもしろい。「ピアノ弾く」は自嘲か。(うらら)
<友遊>
51手花火や隣にそつと座りゐし
52窓のある封書とどきて梅雨に入る
53ドクターの話を聞く日梅雨に入る
☆51、息を呑み見つめていた「隣」の距離感や如何に。(♭)
☆51、よかったねえ。(土曜日)
☆51、大人の花火だろうか。言葉がなくとも、心の距離は近い。(うーむ)
☆52、「人生も自然も時の流れの中に」を実感。特選。(小波)
△52、「窓のある封書」。面白い題材。不確定なのが弱点。(泰二)
☆53、心象的な句 検診の結果を聞く日の不安感を感じさせる。(若葉)
<里穂>
54梅雨に入るとりごゑ低くくぐもりて
55術のなき線香花火の終の玉
56蚊柱や背戸の小藪を抜ける径
☆54、自然体で素直な詩、品位も高い。(うーむ)
☆55、線香花火の持つ宿命を感じさせられる。(若葉)
<梓>
57梅雨兆す箱階段の軋み癖
58ユニホーム部屋に吊して梅雨入かな
59基地の灯の等間隔に梅雨入かな
△57、整った巧みな句。いただくかと迷いました。手慣れを感じました。(うらら)
☆59、米国の無機的な合理性と混沌を包む梅雨との対比が絶妙。傑作。(泰二)
☆59、無機質的な基地の表情とついりの季節感との取り合わせが斬新。(うらら)
△59、基地も鬱陶しいが、なければ国も保てない。荒涼感も好み。(うーむ)
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※<小波さんから>
「ついり」の漢字の表記は、「入梅」ではないでしょうか。
出句の中に「梅雨入り」を当てている例がありましたが、これだと「つゆいり」と読むことになるとおもいます。(小波)
<世話人から>
私の持っている歳時記の一つに「『ついり』は『入梅』『梅雨入』の漢字があてはめられる」とあり、例句にも「梅雨入」で「ついり」と読むとぴったりな例が3句ほどありました。
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※<句猫さんから>
「梅雨入り」と「梅雨」の微妙な違いがピンときません。梅雨入りしたての頃によくある事象って何かな?と考えても思い付かないんですよね。
手花火は、火がすぐ落ちてもののあわれを感じさせることは、よくあるので他のイメージはないかと考えましたが、今一つでした。
出題の言葉の意味深さを感じつつ、そんなこんなで、何を基準に選句したらいいのか分からなくなり。今回は、選句をおサボりします。(句猫)
<世話人から>
良く悩んでくれました。出題者には、そこまで考えてほしいという願いがありました。
解決の方法は句の「梅雨入」のところを「梅雨最中」「梅雨深し」と置き換えてみること。その方がぴったりなら、その句は「梅雨入り」としては失敗作です。
「手花火」の方は句猫さんと同様な考えから、当然の予想から離れた情景を模索した出句もありました。それらは参考になると思います。
写真は前回に続いて「八重の紫陽花」。これも、狛犬さんの御提供です。今回のは「額紫陽花」のようですね。
<第五回合同ブログ句会・出句集>
下の作品の中から良いと思う句を4句選んで句ごとに感想・批評を30字以内で添え、その番号・評を泰二宛のメールでお送りください。(選句が4句を越える時は、佳作としてください。)
それとは別に、問題句に対するご意見などもお寄せください。
☆選句期限 6月25日(土)。
◎全ての選句・評をまとめ、このブログに発表します。作者名(ブログ上の仮名)も添えます。感想・批評も評者名(同前)を添えて全て発表します。
<出句集>
1まくら元手花火置いて眠り居る
2アーケード隙間の空の梅入りかな
3大正の女は強し梅雨に入る
4手花火や縁側に父母ありし日の
5蚊を打ちてわりなき仲になりにけり
6庭先に餌を乞ふ雀梅雨の入
7ホスピスの窓の線香花火かな
8蚊柱や取りはづされし鯨幕
9足もとに蚊の居るけはひ気は漫ろ
10吾ばかり鼠花火の追ひ廻す
11土の香や手花火の友今いづこ
12手花火の火は消え匂いのみ残り
13血を吸いて膨れし蚊の腹潰しけり
14入梅や甘みの足りぬメロン喰い
15入梅や居酒屋いつも準備中
16シュルシュルと鼠花火の照らす闇
17まくりたる腕の血を吸ふ藪蚊かな
18入梅に寒さ感ぜずこの地球(ほし)よ
19夏悔やみ線香花火堕ちにけり
20蚊を潰す汚れしその掌(て)四十六
21干し物の風に絡みて梅雨に入る
22宿坊までついて来たりし藪蚊かな
23憂鬱の弾けて鼠花火かな
24新しき俎かろきついりかな
25闇濃かりしころの線香花火かな
26耳もとの蚊の声たたきそこなへり
27梅雨に入る何処へも行けぬ靴磨く
28手花火の消えて大きな闇となる
29隣室も海眺めゐるついりかな
30稜線に鉄塔傾ぐ走り梅雨
31耳塞ぎねずみ花火の行方かな
32薮蚊とてエレベーターに乗って来し
33湿布薬いやに冷たき梅雨入かな
34蚊を打つは合掌に似ると思ひけり
35手花火やよせ合ふ額ほの明かし
36十の目を離さぬ鼠花火かな
37ざんざん降りに東京の梅雨入りかな
38水やりて花鉢の蚊を騒がしぬ
39魚に振る塩粒立ちて梅雨に入る
40手花火や子の神妙な顔照らす
41蚊を打つて満座の句会ひびきけり
42布令太鼓響き失ひついりかな
43梅雨に入る舟板塀の湊町
44頬の蚊をうちとる力加減かな
45蚊を逃がし特攻隊員出撃す
46天井の龍の目黒し梅雨に入る
47母に手を添えて線香花火咲く
48人を待つ閨に焚く香梅雨に入る
49手花火の瞳の奥の未来かな
50蚊のごとき男の一生ピアノ弾く
51手花火や隣にそつと座りゐし
52窓のある封書とどきて梅雨に入る
53ドクターの話を聞く日梅雨に入る
54梅雨に入るとりごゑ低くくぐもりて
55術のなき線香花火の終の玉
56蚊柱や背戸の小藪を抜ける径
57梅雨兆す箱階段の軋み癖
58ユニホーム部屋に吊して梅雨入かな
59基地の灯の等間隔に梅雨入かな
<以上です。>