写真は「ウスバカゲロウ」。漢字を当てると「薄羽蜉蝣」です。変換を間違えて「薄馬鹿下郎」なんてしませんように。
はかない頼りない感じですが、この幼虫はあの「蟻地獄」です。
去年の八月十七日の記事に、この虫の親類を載せました。
あれは「草蜉蝣」。(その卵が「優曇華」)。
「薄羽蜉蝣」・「草蜉蝣」・「蟻地獄」・「優曇華」、全部、夏の季語です。
<第九回ブログ句会・選句と評>
選は☆で示しました。△は佳作、?は質問です。
< >は作者、( )は評者です。
※旅行帰りの狛犬さんから、選句と評が届きました。3・17・18・23に追加しました。
※、今回の句会、選句、評への感想をお寄せください。
<選句と評のまとめ>
<ウーフ>
1蟷螂の子の立ち向かふ風の脚
2擬宝珠の雌蕊に風の現るる
3本殿に涼しき風の通りけり
△1、上五中七は面白いと思いますが、「風の脚」の意味が分かりません。(多美子)
☆2、擬宝珠の花をアップで撮ろうとカメラをのぞくと風が…。(多美子)
☆3、涼しい風は夏の法事には何よりの御馳走 (白い鴉)
☆3、御神体安置所以外は広々とした本殿。涼風が柱を通り抜けてゆく。(けいこ)
☆3、本殿と涼風の取合せを頂戴しました。(土曜日)
☆3、何となく漢詩にでもしたくなる情景。(狛犬)
<順一>
4無風の日止まって居ては汗が出る
5トイレ内ミニ扇風機使はれず
6蜘蛛の囲や自ら風となりて切る
<烟水>
7風受けて濃紫陽花は凛と立つ
8公園に遊ぶ母子や若葉風
9夏木立風は気侭に吹き抜ける
☆7、花色薄いのが多い中で本物に出会えた感動が素直に詠まれている。(順一)
☆8、単純ですが、素直な句です。(土曜日)
☆9、私も気儘なリラックスした気持ちになれた(順一)
<白い鴉>
10風涼し双子の眠る乳母車
11病床の母に団扇の風送る
12風死して退屈さうな風見鶏
☆10、双子が発見です。いいです。(土曜日)
☆10、子育ては大変であろうがしばし一息つけた(順一)
☆11、優しい子供の姿が浮かびます。(烟水)
☆11、病気のお母様には、団扇風がさぞ快く、嬉しいことでしょう。(けいこ)
☆12、風がパタリと止んだ耐え難い暑さが伝わってくる。(ウーフ)
<土曜日>
13白南風や島一周の遊歩道
14風鈴や小人閑居恋心
15戦争も地震も知らず団扇かな
☆13、南の島の気持ち良さそうな遊歩道を思い浮かべました。(句猫)
☆13、小さな島の明るく爽やかな印象。こじんまりしすぎ?(うーむ)
☆13、南の小島の感じが出ている。白南風の明るさも見える。(泰二)
☆13、明るく少し閑散とした島の風景が浮かびます。(多美子)
☆14、確かに風鈴の音でそんな気持ちもある。(青子)
☆15、時事問題と、団扇の取り合わせが面白い。(青子)
△15、気になった極楽トンボ。外国では、「〜知ってる団扇かな」か。(うーむ)
<けいこ>
16明易の風破り行くオートバイ
17涼風の揺らす木漏れ日乳母車
18総立ちで終はるジャズの夜風涼し
☆16、中七が素晴らしい。オートバイに乗ってみたくなる。(うーむ)
☆17、木陰の乳母車。赤ちゃんに涼しい風が吹き木漏れ日が揺れるのどかさ。(烟水)
☆17、モネの描きそうな風景。(狛犬)
☆18、ジャズコンサートの熱気を風涼しで纏めたのが巧み。(ウーフ)
☆18、熱気に満ちた興奮の後の夜風はまた格別 (白い鴉)
☆18、季節とジャズが合う。熱い演奏と聴衆、が秋は直ぐそこに。(うーむ)
☆18、ジャズの熱狂と夜風の対比がよい。(青子)
☆18、この句は私好みの句なのであろうか。理屈抜きで良し。(順一)
☆18、興奮を静める夜風の心地よさを感ずる。(狛犬)
<泰二>
19青東風や海に伸びたる滑走路
20矢車や湖いちめんの金の波
21風鈴の舌外されしまんまかな
☆19、青空とすぅーと延びる滑走路が浮かび、気持ち良かったです。(句猫)
☆19、季語とひびき合い、中七で夏らしい景が広がりました。(けいこ)
△19、中七下五大変魅力的。「青」と「海」が近すぎ、充分に飛べない感あり。(うーむ)
☆20、爽やかな感じです。(多美子)
?20、湖は「うみ」と読むのでしょうか。(多美子)
☆21、無様な風鈴の姿に、その家の様々な人間模様を考えてしまう。(ウーフ)
☆21、風鈴の舌とは面白い。外されたままでは役に立ちませんね。(烟水)
<多美子>
22時計草伝う垣根を風が過ぐ
23うたた寝のどこか遠くで竹風鈴
☆23、情景が想像出来て竹風鈴の音色が聞こえる様です (白い鴉)
☆23、誰もが経験したことのある感覚ですね。(句猫)
☆23、竹風鈴の音がうたた寝にやさしく聞こえてきた(烟水)
☆23、竹風鈴は聞いたことがないけれど昼の夢心地が気持ちよさそう。(けいこ)
☆23、夢か現かそう言う感じが好きです。(狛犬)
<うーむ>
24白南風や赤子の足裏やはらかく
25大観の竹林渡る風涼し
26泣き疲れ昼寝せし子へ風やさし
☆24、梅雨明けの明るい風と、赤子の足裏の柔らかさとの係りが好き。(ウーフ)
☆24、白南風の明るさの中に、赤子の健やかさが感じられる。(青子)
☆24、具体的な実態感が良い。愛情も感じられる。(泰二)
☆24、白南風と赤子の足裏の取合せの妙です。(土曜日)
☆26、実景が見える様です (白い鴉)
<青子>
27風鈴の音さまよひぬ路地の雨
28風鐸は黙するものぞ青嵐
29風涼し植林の道縞模様
☆27、雨の音にかき消されるのか、響かないのか。魅力的。(うーむ)
<狛犬>
30風たちてみよ入道雲の崩れ行く
31居酒屋の暑さを送る扇風機
32風となり我夏空を遊弋す
☆30、滅多に見れない光景かと。「みよ」の言葉の勢いに惹かれた。(句猫)
☆30、堂々としたところが好きです。(多美子)
?30、入道雲は「にゅうどう」と読むのでしょうか。(多美子)
☆31、この「暑さ」は厨房の火の暑さ。場末の居酒屋の感じが出ている。(泰二)
<句猫>
33熱帯夜母の匂いとうちわ風
34夏の夜潮風かおる駅構内
☆33、母の匂いは季語から言うと違和感・重苦しさだろう。家族の現実。(泰二)
△34、次点。夏の夜やと切字を入れては?駅構内が硬い感じです。(けいこ)
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◎<句猫さんの質問>
素朴な疑問ですが、投句の風に色んな色がついてましたが、意味合いが異なるのですか?雰囲気ですか?風は匂いや音で表現することが多く、風そのものを言い表すのは難しいと思いました。
◎<泰二のコメント>
A「白南風」(しらはえ・しろはえ)、B「青東風」(あおごち・あおこち)のことでしょうか。Aは梅雨明けに吹く明るい南風。Bは土用のころの晴天に吹く東風です。他に「黒南風」(くろはえ)[梅雨の始め、最中に吹く黒雲を伴う風]もあります。どれも夏の季語です。