左の写真の句の季語は
「啓蟄」 (春)です。啓蟄は冬篭りしていた地虫たちが出てくるという意味で、今の暦では三月六日になります。
和食の達人野崎洋光さんの言葉。「油揚げとしめじを炊き込み御飯の具にする時、昆布・鰹節などの出汁は使いません。具から出汁がでるので、他の出汁は味の邪魔になります」
俳句の季語もこれと同じだと思った。「長閑さや」とか「春の昼」と言ったら、もう「のんびり」の出汁が出ているのだから、「猫が伸びをした」とか「欠伸が出た」とか、他の出汁は味の邪魔になる。季語から出た出汁の味をすっきり生かしたいものだ。
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<投句・狛犬さん>
「梅の花透かして見える奥座敷」
<感想・泰二>
季語の持っている性質を他の部分で説明する必要はありません。「梅の花」と言えば、間から透けて見える程度に咲くものというのは、読者に委ねていい部分です。この句では中七をもう一工夫してください。
<投句・うーむさん>
「沈丁花一枝分の幸ここに」
どんな時も、沈丁花を一枝活けると、あたたかい気持ちが広がります。
「春の野に息づく命幾億万」
春いっせいに命が芽生えます。この野原でさえ、どれだけの数の命があるのか、土の中にいる菌類、虫、コケ、植物、動物、最後に人、目眩がしてきます。
<感想・泰二>
前句、「ここに」が不明確です。「分」は説明くさいです。簡潔に明確に、例えば「一枝の幸活けにけり沈丁花」のように詠む工夫をしてみてください。
後句、「息づく命幾億万」は概念的・抽象的です。菌類から人間までは手を広げ過ぎでしょう。代表として「虫」を取り上げるくらいの方が、実体感があると思います。
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